高齢者で膝関節内の軟骨がすり減った変形性膝関節症では、ほとんどテーピングを用いることはないと思います。
しかし、変形性膝関節症の症状が「軽度」の人で、ダンスやスキーなどスポーツが好きでやめられない人には、膝を変なふうにひねらないようにする外傷・障害の予防措置のテーピングを使うのも有効です。
中度から重度の変形性膝関節症にはテーピングは向かない
まず、本来のテーピングの目的を挙げてみましょう。
- スポーツでケガをしそうな部位をあらかじめ保護・固定しておく「外傷・障害の予防措置」
- 軽い捻挫をしたり、軽い肉離れなどを起こした際の「応急措置」
- ケガをした後に早い時期からおこなうリハビリの「補助手段」
- 再びケガをしないようにする「再発予防措置」
テーピングの目的このようなため、膝関節の軟骨がすり減ってしまった、中度から重度の変形性膝関節症にはテーピングは向きません。
膝へのテーピングのポイント
膝へのテーピングで重要なポイントは、膝の安定性を確保することです。安定性を良くすることで軽度の変形性膝関節症の痛みを軽減し、軽いスポーツなら楽しむことができます。
テーピングで膝の安定性を高めるため、大腿骨側の骨と脛骨の境である関節面部を固定します。靱帯に沿った力の方向をクロスべルトでとらえ、外側から左右前後のブレを防ぐように巻きます。
膝の6本の靱帯を、しっかりと包み込み、膝の痛みの原因となるズレやブレを防ぎます。
テーピングは皮虜の上から内部の靱帯を補強しようとするもので、その効果は30分で半減します。たった30分というのは、特にスポーツでは皮膚から汗をかき、汗がテープと皮膚の間に入り込み、密着度合いが落ちていくためです。
実際のテーピングは正しい解剖学的知識が必要です。素人がかるがるしくテーピングをおこなうことは危険です。関節の動きを制限するのがテービングの目的ですが、その際、神経、血管などを圧迫しては危険です。間違って固定してしまって後遺症がでることもあります。
正しいテーピングをおこなうのには、その関節に靱帯がどのように走り、それぞれの靱帯がどのような役割を果たしているか、知っておく必要があります。
膝へのテーピングの基本
膝への基本的なテーピングは、「アンカー」「サボート」「ロック」の3段階からなります。変形性膝関節症の症状の軽い人が、スキーなどのスポーツをする際に使えそうなテーピングの基本を、簡単に紹介しておきましよう。
- まず膝の上下、太もも部分と脛部分を幅4センチほどのテープで1周巻きます。これが「アンカー」になります。
- 「サポート」は膝のお皿にのらないように大きなx印に貼ります。膝関節が動かないように、しかもテープがたるまないようにします。
- 「ロック」は、サポートが浮き上がらないように、テープを3分の1程度重ねながら固定します。これで終了です。固定した後は正座ができません。
膝にテープを卷くときには、10センチほどの台に膝を軽く曲げた状態で足を置き、太もも部分に力を入れ太ももの周囲が最も太い状態でテーピングをします。
これは過度の圧迫を避けるためです。繰り返しますが、膝のテーピングは、膝の関節の過伸展予防、ねじれ予防が主な目的になります。
血管や神経を過剰に圧迫しないように注意深く関節を固定していきます。きつく巻きすぎると神経麻痺や循環障害の原因になりますので注意しましょう。