変形性膝関節症は食事療法+運動療法で改善するのがセオリーです。
体重は、膝の負荷に直接的に影響します。体重コン卜ロールは大切ですが、単に食事を減らすだけだと、筋肉量が減ったり、骨がもろくなることもあります。
栄養と運動で膝を守る体づくりをしていきましょう。
もくじ
自分の体重が膝を痛める
歩行や階段の上り下りなどで、膝には体重の何倍もの負荷がかかっています。
それだけに、もし体重が3kg軽くなれば、歩行時で約9kg、階段では約15〜21kgも、膝の負担を減らすことができます。
しかし、体重はただ減らせばよいというのではありません。
体に必要な栄養素が不足すると、筋肉が少なくなって、かえって動けなくなったり、骨がもろくなる骨粗鬆症など、病気にかかりやすくなったりします。
それを避けるためには、適正な目標体重を設定したうえで、バランスのよい食事を規則正しくとるとともに、運動を行うことが重要です。
食のポイントは、まず良質なたんはく質、ピ夕ミン・ミネラルを必要量確保し、次にエネルギー源である炭水化物(糖質)と脂質を、適正エネルギー量に合わせて調節することです。
とくに、筋肉など体をつくるたんぱく質が不足しないようにしましょう。
たんぱく質の十分な摂取は、運動による筋肉増強に不可欠な要因です。またビ夕ミン・ミネラルのな力でもは、骨の原料となるカルシウムは日本人に不足しがちなので、意識してとるようにしましょう。
変形性膝関節症を改善する体重へ
変形性膝関節症を改善するためにはまず、自分の標準体重を知ることが大切です。
肥満でもやせすぎでもなく、もっとも病気になりにくいといわれる体重を標準体重といいます。
標準体重は、身長から導き出すことができますが、まず自分の現在の体重と、肥満の有無を確認しておきましょう。
BMI(体格指数)22以下を目指そう!
肥満度をあらわすのは、BMI(体格指数)という値で、次の計算式で求めることができます。
BMI(体格指数)
体重÷身長(※メートル)の2乗=BMI
身長150cm体重60はの人なら、
60÷(1.5×1.5)=26.666...なので、BMIは26.7です。この値を、「肥満度の判定基準」にあてはめると、「1度の肥満」ということになります。
肥満度の判定基準
BMI |
判定 |
18.5未満 |
低体重(やせ) |
18.5以上25未満 |
普通体重 |
25以上30未満 |
肥満1度 |
30以上35未満 |
肥満2度 |
35以上40未満 |
肥満3度 |
40以上 |
肥満4度 |
BMI18.5以上25未満が「普通体重」ですが、その範囲の中でも、もっとも病気の発生率が少ないのが、BMI22前後の人です。これは男女とも同じです。
そこで、BMI22前後になる体重を、「標準体重」とし、この値を目標に体重をコントロールします。
膝の負担を減らす体重まで減量するポイント
たんぱく質、脂質、炭水化物のバランス
栄養をバランスよくとるためには、「P(たんぱく質)F(脂質)C(炭水化物)バランス」が重要です。
例えば、適正エネルギー量が1,800kcalの場合は、たんぱく質が15〜18%、脂質が20〜25%、炭水化物が50〜60%の割合がベス卜です。
どんな食品をどれくらい食べる?
1日にとりたい食品の種額と目安は1食あたり、肉や魚介50〜200gまたは大豆製品50〜200g。野菜は1日あたり、緑黄色野菜120g以上、淡色野菜230g以上を目安に。
食品は、種類や役割によって、主に「榖類」「野菜、きのこ、海藻類など」「肉や魚、大豆製品など」「油脂と砂糖など」という4つのグループに分けられます。
たんぱく質を多く含む肉や魚介、大豆製品、ビタミン・ミネラルを多く含む野菜などを、まずしっかり食べましょう。
1食あたりのたんぱく質の目安
- 肉や魚介・・・鶏胸肉(皮なし)1/3枚(80g)、または豚もも肉50g、鶏ささ身100g、あじ中1尾、または鮭1/2切れ、いわし中1尾、かつお刺身5切れ、あさり(殻つき)30個
- 大豆・大豆製品など・・・豆腐1/2丁(150g)、または納豆1バック、油揚げ1枚
太りにくい食べ方は?
1日3食、朝3:昼4:夜3の配分を心がけること、野菜から食べ始めること、よく嚙んで食べることが基本です。
野菜から食べてよく噛むと、血糖値の上昇がゆるやかになり、太りにくいとされています。間食を控え、お酒も飲みすぎないようにしましょう。
夕食は、できれば就寝の4時間前まで、少なくとも2時間前にはすませましょう。
体重の記録をとる
毎日の食事と体重の記録をつけると体重コン卜ロールがしやすいです。
体重は1日2回、決まった時間に測りましょう。朝起きて排泄したあとと、夕食後あるいは夜寝る前がベストです。
また、食事内容の記録も減量に効果的です。間食も記入しましょう。
運動量なども記録するとやる気がアップするのでおすすめです。
計画的に体重を減らし、変形性膝関節症の痛みを少しでも減らすように頑張りましょう!