関節鏡下手術は軟骨のけば立った部分を取り除いて整え関節内をきれいにします。
変形性膝関節症の初期や中期の人が対象で、人工膝関節置換術までのつなぎとしても実施します。
変形性膝関節症の関節鏡下手術
関節鏡下手術は、膝のお皿(藤盖骨)の周辺に、1cm程度の孔を2〜3力所あけて行います。
関節鏡郭清術
1力所から直径4mmの関節鏡を挿入し、映し出される映像をモニターで観察しながら、別の孔から特殊な手術器具を入れて、切れている半月板や滑膜、はがれかけた軟骨を切除したり、関節内に浮遊している軟骨を取り除きます。これを関節鏡郭清術といいます。
先端にハサミなどがついた手術器具で、はがれかけた軟骨を切除して、表面をなめらかに整える手術です。
手術に要する時間は、40〜60分程度が目安です。
この手術の主眼は、関節の中をきれいに掃除して、炎症が起こりにくくすることですが、ほかの処置を付け加えることもあります。
たとえば、膝をまっすぐに伸ばせなくなるなど、骨棘が膝の正常な働きを邪魔している場合は、関節鏡郭清術と同時に、骨棘を切除します。
また、軟骨の再生を促す処置を行うこともあります。軟骨がなくなって骨がむき出しになっている部分(欠損部分)に、小さな孔をたくさんあけ、わざと骨髄から出血させます。
こうすることによって、血液に含まれる軟骨のもととなる細胞が欠損部分に誘導され、軟骨の再生が期待できるのです。
ただし、この処置で再生される軟骨は、半月板と同じ「繊維軟骨」で、関節軟骨の「硝子軟骨」ではありません。
また、時間の経過とともに、再びすり減ってくることが避けられませんが、徐々に繊維軟骨が硝子軟骨に置き換わるという研究報告もあります。
関節鏡下手術後の回復
関節鏡下手術は、全身麻酔または腰椎麻酔で行います。
また、創が小さく出血も少ないため、術後の回復は早く、手術の翌日から歩くことができます。
合併症などがなければ、手術の翌日に退院となる病院もありますが、退院は術後7日から10日程度が一般的です。多くの場合は、術後1週間から3週間程度で、日常生活に戻ることができます。