変形性膝関節症は、ほとんどのケースで「保温」が良いと思われます。
温めて血行を良くすることで膝痛もやわらぎます。
ホットパック、遠赤外線療法、超短波療法、低出力のレーザー療法など、血流を改善して膝の痛みをやわらげる治療も多くあります。
もくじ
変形性膝関節症の人とお風呂
古い細胞が新しいものに入れ替わることを新陳代謝といいますが、患部を温めて血の流れを良くして新陳代謝を助ける意味もあります。
寒い時期や梅雨の時期に限って膝が痛いという人もいます。
そうした人には保温をかねて膝に緩いサポー夕ーを使うようにし、外出を少し控えましょう。
クーラーの冷気も膝に当たると良くありませんので、女性はス力ートよりもスラックスのほうが良いでしよう。
ポイントは膝を「冷やさない」ことです。
お風呂は膝を温めてくれます。1日の疲れや汚れを落とし、血行を活発にしてからだを内側から温めてくれるので、変形性膝関節症の人に入浴はおすすめです。
膝痛がある場合の入浴方法
ゆっくりとお風呂につかってリラックスするのが一番です。
風呂上がりには痛み止めのインドメ夕シン軟膏やボルタレン軟膏などをすり込んでください。
膝が痛い人のなかには、お風呂の中で曲げ伸ばし訓練をすると膝も良く曲がり、とても楽です、という方がよくいます。
痛みがなければ、お風呂の中で1分間正座をしてみてください。お風呂の中は浮力がついて膝に荷重がかかりません。
さらに温かくて血行も良くなり、突然に膝が良くなったような錯覚にとらわれますが、これはまさに錯覚です。
お風呂の中のリハビリは血行も良くなり効果もあるのですが、膝軟骨がすり減って膝関節のすき間がなくなっている状態ではいくらお湯につかっても膝関節のすき間は広がりません。
こうした場合は、お風呂の中で、太もも前面の筋力(大腿四頭筋)を緊張させて強くする、軽いトレーニングをしてみてください。お風呂を有効に活用することも大切です。
湯船の中で太ももの筋肉を強くする運動を工夫したりするようにしましょう。
膝痛の人の入浴時の注意点
入浴にも注意が必要です。たとえば、日本人が好む熱めのお湯は、急激な体温の上昇で血液の粘性が上がり血圧も上昇します。
特に、高血圧や心臓の弱い方などは注意しなくてはなりません。また、肩まですっぽり入る全身浴も気をつけましょう。
半身浴がおすすめ
効果的なのは半身浴です。半身浴は38度から40度程度のぬるめのお湯にミゾオチのあたりまでつかります。
上半身が汗ばんでほんのりと赤みを帯びてくるころには、体は芯からポッカポカになって冷え性なども改善されます。
温泉で関節を温めてのんびりというのもいいですね。
しかし、周知のように温泉でも禁忌があるので高血圧など持病がある人は気をつけてください。
深部まであたためられる温熱療法
変形性膝関節症に対する物理療法は、温熱の刺激によって血流を改善します。
痛み物質や疲労物質の排出を促し、筋肉や関節の緊張をやわらげて、動きやすくします。
物理療法とは、温熱、寒冷、微弱な電気、光線などの物理エネルギーを体に加える治療です。変形性膝関節症の場合は、温熱、寒冷、微弱な電気がよく用いられます。
温熱療法と微弱な電気療法は血流をよくすることで慢性的な痛みをやわらげ、寒冷療法は急性の炎症を鎮める効果があります。
慢性的な痛みをやわらげる目的であたためる効果のあるものを、まとめて温熱療法と呼びます。
家庭でも、温めた夕オルや入浴などで手軽に温熱療法を行えますが、医療機関では、ゼリー状の温熱剤が入ったホットパック(温湿布)や、赤外線、微弱な電気(マイクロ波、低周波、高周波、超短波)、超音波など、多様な方法で行います。
膝があたたまって血流が改善すると、細胞の新陳代謝が促され、痛み物質の排出を促進するだけでなく、筋肉や靭帯の緊張がほぐれて、膝が動かしやすくなります。
医療機関で行う温熱療法のメリットは、膝のより深い部分をあたためられることです。
温熱療法の種類
- 赤外線(血管を拡張させて細胞の新陳代謝を活性化)
- ホットパック(温湿布)(ゼリー状の温熱剤で患部を温める)
- 超短波、マイクロ波(電波で細胞に摩擦を起こし、熱を発生させる)
- 超音波(音波の振動で細胞の新陳代謝を活性化)
- 低周波電気刺激(電流で神経を刺激して痛みを和らげる)
- 高周波電気刺激(電流で神経を刺激して痛みを和らげる)
変形性膝関節症の炎症を寒冷療法で鎮める
長時間歩いたあとなどに、膝が腫れて熱っぽくなっているときは、急性の炎症が起こっているので、患部を冷やす寒冷療法を行います。
血管を収縮させて腫れを抑えたり、細胞の新陳代謝を低下させて炎症を鎮める効果があります。
もっとも簡単な寒冷療法は、氷や冷たい夕オルなどで直接冷やすことです。
氷と水を入れた氷のうやビニール袋をタオルでくるみ、膝を冷やします。ただし、冷やしすぎると、凍傷などの皮膚トラブルを招くことがあるので、気持ちいいと感じる程度にとどめましょう。
数日〜1週間程度、冷やしながら様子をみて、熱や腫れが引いたら温熱療法に切り替えます。
寒冷療法の種類
- 冷たいタオル
- 氷のう
- 湿布
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