変形性膝関節症の発症には、加齢、性別、職業、スポーツの経験など、多様な要因がかかわっています。
もともとの病気や、過去のけがが原因のこともあります。
変形性膝関節症は特に女性に多い病気ということが分かっています。また、変形性膝関節症になりやすい人の特徴も2種類に分けられます。
もくじ
変形性膝関節症が中高年以降の女性に多い理由
加齢とともに増える変形性膝関節症ですが、急増する時期は、男性が60歳代半ばから、女性が50歳代半ばからと男女差があります。
患者さんの数も、女性のほうが、男性より約3倍も多いのが特徴です。変形性膝関節症は、中高年以降の女性がとくに注意すベき病気ということができます。
女性に多い理由は、男性に比べて関節が小さく、筋肉が少ないこと、ハイヒールを履くと、正座や横座りすることや家事のためにしゃがむ機会が多いこと、閉経による女性ホルモンの減少などが影響すると考えられています。
女性に変形性膝関節症が多い理由
- 関節が小さい
- 筋肉が少ない
- 女性ホルモンの減少で骨が弱くなる
- しゃがむことが多い
以上のことから、女性でも膝や脚の筋肉を鍛えたり、骨を強くすることなどで変形性膝関節症を予防したり、悪化を抑えたりすることができると考えられます。
一次性変形性膝関節症と二次性変形性膝関節症
肥満や膝に負担のかかる職業、別の病気やけがも原因になります。
変形性膝関節症は、さまざまな要因が重なって起きますが、もっとも悪影響が強いのは、膝に負担のかかる生活を続けることで、とくに肥満は、膝の軟骨を痛めつける大きな要因の1つで、減量するだけで膝の痛みが軽くなることもあります。
仕事では、肉体労働や、立ったり座ったりする職業、階段を頻繁に上り下りする職場の人に、変形性膝関節症が多くみられます。また、激しいスポーツで膝を酷使した人なども要注意です。
長年の膝への負担とは別に、何らかの病気やけがが原因で起こることもあります。たとえば、関節リウマチや感染性関節炎など、関節に炎症が起きる病気、若いころの膝の骨折や脱臼、靭帯の損傷、半月板損傷などです。
このように原因がはっきりしているものを二次性変形性膝関節症、もう一方の、病気やけがとは無関係のものを一次性変形性膝関節症といいます。二次性の場合は、もとの病気やけがをきちんと治療することが重要です。
日本人に多いのは一次性変形性膝関節症といわれています。
遺伝的な素因も影響
ある病気にかかりやすい素質のことを素因といいます。軟骨が傷つきやすいという遺伝子の特徴をもつ人は、変形性膝関節症になる危険性が高く、ほかの関節の変形性関節症にも
なりやすいことがわかっています。
また、手の指の第1関節が節くれ立ち、進行すると痛みや曲げにくさがあらわれる「ヘバーデン結節」のある人は加齢とともに変形性膝関節症になりやすいといわれています。
これは男女関係なく影響します。
「ヘバーデン結節」とは?
手の指の第1関節に起こる変形性関節症。40歳以降の女性に多く、主症状は第1関節の腫れと痛みですが、炎症が強いときは熱っぽさや発赤もみられます。
変形性膝関節症になりやすい人
一次性、二次性別の変形性膝関節症になりやすい人の特徴です。
一次性変形性膝関節症
- 50歳代以上の女性
- 60歳代以上の男性
- 肥満の人
- 膝に負担をかける仕事の人(肉体労働、しょっちゅう立ったり座ったりする職業、階段の上り下りが多い職場環境)
- 膝を酷使するスポーツの経験者
二次性変形性膝関節症
- 病気(関節リウマチ、感染性関節炎、骨壊死(骨の中の細い血管がつまり、骨の組織が死ぬこと)など)
- けが(骨折、脱臼、靭帯損傷、半月板損傷など)