高位脛骨骨切り術は、変形性膝関節症に対する手術方法の一つで。関節鏡で外側に軟骨が残っている場合、荷重を外側に移動させ、痛みを和らげる目的で行われます。
軽度から中等度の変形性膝関節症が適応になります。
高位脛骨骨切り術は術中の血管損傷や、術後の緋骨神経麻痺と治癒の長引きに注意が必要です。
もくじ
高位脛骨骨切り術とは
変形性膝関節症とは、関節軟骨の老化を基礎に、軟骨の変性・破壊を生じる疾患です。膝関節が老化・肥満・筋力の低下・外傷などのためにO脚(内反変形)になり、膝関節表面の軟骨(特に内側)が擦り減り、軟骨の下の骨がむき出しになるために痛みが起こってきます。
症状は、膝の痛み・可動域制限・水腫などで、日常生活に支障が出てきます。
高位脛骨骨切り術は変形性膝関節症の手術治療の一つで、
①疼痛の軽減
②自分の骨を温存できる
③膝関節の可動域の保持という利点があります。
一方、短所として、①骨切り部の骨癒合に時間がかかる(=入院期間が長い)②免荷期間が長いという特徴があります。
手術後免荷期間が4週間、全荷重が許可され杖歩行が終了となり、行動に制限がなくなるまでには、術後10〜12週(70〜85日)を要します。
手術後のポイント
骨切り術では骨の癒合を待つ期間が長く、免荷期間は長期にわたります。
リハビリ初期は、長下肢ギプスの保護をしながら、安全な車椅子への移乗動作などで筋力訓練。日常生活動作の拡大・歩行訓練へと進めていきます。
ギプスや夜間の固定は6週間続き、この期間の筋力訓練や膝関節の可動域訓練は重要です。日常の生活を援助している看護師の訓練と専門的なPTの訓練がミックスされ、訓練・生活指導をうけます。
1/2〜2/3荷重での歩行が退院の目安となります。自宅や家族の情報を整理し、病棟での訓練時には面会に来た家族もともに歩行訓練に参加できるようにします。リハピリの状況や訓練のポイント、杖での歩行が可能になれば退院となります。
高位脛骨骨切り術の手術後のポイント
- 筋力を落とさない
- ギプス固定や腫脹による神経・循環障害を起こさない
- ギプスによる皮膚のトラブルの予防
- 日常生活行動が、危険なく自立して拡大できる
- 部分荷重での移動動作が生活に取り入れられる
- 自宅・家族の協力体制を見ながら、退院の準備につなげていく
一般的には、下腿骨の骨癒合には8週間かかるといわれており、痛みが取れるのには半年ぐらいの期間がかかります。
高位脛骨骨切り術手術後の注意点
変形性膝関節症は、中高年の女性や肥満傾向の患者が多いです。歩行中の膝には体重の7倍の負荷がかかるといわれております。
生活習慣病や骨粗鬆症の予防と肥満の改善について、生活状況・食事や活動内容を聞き取りながら、適切な力ロリ一摂取や、栄養指導を病棟担当の栄養士とともに実施します。
松葉杖の使い方
松葉杖は歩くときに、腋の下に体重をかけて歩いてはいけません。
腋下に回っている神経には橈骨神経があります。ここに体重をかけて歩いていると神経を圧迫し、麻痺を起こし危険です。手がしびれてくるようなら、ここを圧迫していることも考えられます。
腋下に指が2、3本入るくらいのすきまが必要です。杖の長さがあっていないことも考えられるので、歩行姿勢や杖の調整が必要です。
手術後の痛み
骨切り部の骨がつくまでは、最低でも8週間以上かかるといわれています。半年を過ぎないと痛みはなかなかとれなかったという人もいます。個人差もありますので、医師の指示にあわせて杖を使い、体重の負担をカバ一しながら骨がしっかりつくのを待ちましょう。また、異常な痛みでないかを外来での診察で確認します。
プールの運動
プール内では浮力によって荷重が減少します。水中訓練でプールの水位が臍部であればおよそ1/2荷重です。荷重が2/3以上許可されていれば、プールサイドでは手すりにつかまって移動し水中歩行訓練が可能です。
1力月くらいはプールでの水中歩行のみとしましょう。平泳ぎなどの膝の回旋が加わる運動はしばらく避けましょう。
身体障害者手帳の交付はできる?
この手術によって身体障害者手帳の交付に該当することは少ないと思います。片側のみの手術後は、身体障害者等級程度表から、肢体不自由の下肢7級の「下肢が健足に比して3センチ以上または健足の長さの1/20以上短いもの」に当てはまらなければ、該当しません。
個別に異なりますので、医師やソーシャルワーカーに相談しましょう。
中に入れた金属はいつごろ抜きます办?また入院が必要です。?
一般的には、術後1年を目安に、レントゲンの状態を見ながら医師が金属を抜く(抜釘)の時期を決めていきます。麻酔が必要な手術ですので入院が必要です。術後の痛みが落ち着き、歩行に支障がないことが退院の日安で、5日間ぐらいです。
車・自転車の運転
荷重が2/3以上許可されていて、必要最低限であれば、車の運転は可能です。しかし、2カ月近く入院した後なのでとっさの判断に身体が反応できないことが考えられます。十分の注意が必要です。
自転車やその他の運動は全荷重が許可されてから徐々に可能となります。転倒には十分注意してください。運動内容によりますので、個別に医師に相談しましょう。
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