人工膝関節置換術の適応疾患としては、変形性膝関節症・関節リウマチなどが挙げられます。
変形性膝閨節症とは最も頻度の高い関節症で、さまざまな原因による軟骨の変性を基盤に生じる疾患で、中年以降の女性に多いです。一方、関節リウマチは、滑膜病変が原因で、著しい軟骨・骨破壊が膝関節に起こった場合、人工膝関節置換術が有用になります。
もくじ
人工膝関節置換術手術後の注意点
人工膝関節置換術の術後、退院後に注意しなければならないことは、無理な作業や活動をしないことです。しかし、過度の安静は決してよい結果を生じるものではありません。大腿四頭筋の筋力強化運動は、膝関節への負担を軽減して安定した歩行となり、また拘縮予防にもつながります
家族に対しても、歩行訓練や筋力強化訓練の継続の必要性について説明しましょう。退院後まもない時期は、衣服の着脱、階段の昇降時には、そばについてもらうなどの協力が必要な場合があります。
術後の感染に注意
発赤、腫脹、局所の疼痛、急激な発熱、38°C以上の発熱が続く場合は感染が疑われます。このようなときはすぐに病院に連絡し、医師の指示を得るようしましょう。
人工関節は、生体にとって大きな異物が入っているということを、十分認識しましょう。また、感染徴候が現れているときの早期発見も大切です。さらに、感染予防のため虫歯治療を含め爪の周囲炎など軽度の感染症も、早く処置を受けておき、健康管理に注意しましょう。
体重のコントロ一ル
膝関節は荷重関節であり、体重の増加は直接的な膝関節への荷重の負担を意味します。体重が1kg増えれば、運動時の膝への負担は3kg増えるといわれています。
変形性膝関節症の患者は肥満傾向にある者も多く、手術後、体重増加による膝への負担が続けば人工関節を長持ちさせることは困難になります。これまでの生活習慣や今後の生活における活動量などを考慮し、無理なく体重のコントロ一ルが継続できるようにしましょう。また、必要であれば管理栄養士の指導を仰ぎ食事療法を実施します。
生活スタイルの変更
膝関節への負担を軽減する生活スタイルが重要となります。和式の生活スタイルは膝関節にとって負担が大きいため、できるだけ洋式の生活スタイルに変更することが望ましいです。
人工膝関節置換術手術後の日常生活
正座を避ける
正座は、膝を非常に屈曲させ、さらに体重を載せることによって大きな負担をかけることになります。
長時間の歩行は避ける
長距離歩行に際しては、膝関節に負担がかからないようにすることが望ましいです。
生活スタイルを洋式にする
和式トイレを使用する際も、膝を強く屈曲させてのしゃがみこみが必要になり、膝に無理をかけている姿勢といえます。そうした意味からいえば、普段の生活スタイルを、椅子に座ったりべッドを使用したり、洋式トイレに変更することもよいでしょう。椅子・べッド・洋式トイレを用いるスタイルや、浴室・トイレには手すりを付けることが望ましいです。
体重を減量し、重い荷物は持たない
身体の移動時、下肢には体重の数倍の圧力が加わるとされています。膝に対する負柑軽減のために肥満は禁物です。さらに買い物の際、負担を増加させるような荷物を持つことも避けたほうがよいです。
ショッピングカートや車輪付きカートを利用し、自分で持ったり担いだりしないようにしましょう。可能な場合は、家族に代行してもらうようにします。
階段昇降時
大腿四頭筋の筋力が低下している場合には、降りるときに膝が不安定になるため、しっかり手すりにつかまるなどして、膝への荷重が少なくなるようにします。転倒時にはすぐ受診します。
歩行時には転倒の危険性がつねにあり、転倒後に強度の疼痛が出現した場合には骨折が疑われるため、速やかに受診するようにします。
運動療法の継続
人工関節を長持ちさせるには、無理のない程度に筋力増強運動や水中歩行など、各種運動療法を行うことも重要です。
杖の選び方
握りの形は持ちやすく、まっすぐ前方を向いているものが一般的です。長さは、杖をつま先の斜め前方について、肘が30〜40度曲がっている状態でいちばん腕に力が入りやすい位置を目安にするとよいです。
杖の先端は、とがった形のものでなく、滑らないように滑り止めを付けましょう。杖の使用は他者の注意を喚起し危険を防止する役割もあります。
靴の選び方
足が着地したときにぐらつかないように、ヒ一ル部分が広く低い靴を選びましょう。
①靴の踵部分が足の踵をしっかりと包むような適度な硬さがあること
②足の甲の部分まで覆っていること
③けり出しを補助するように靴底に適度な硬さと弾力性があること
④足の指を動かせるだけのゆとりがあること
以上が靴の選び方のポイントです
人工膝関節の耐用年数
人工関節は年々進歩していますが、耐用年数に制限があり、よい状態で維持できる年数は、最近では15〜20年程度といわれています。活動の状況にもよりますが、骨と人工関節にゆるみが生じたり、人工物の摩耗などによって再争術を必要とすることも考えておかねばなりません。
体重の調整
膝は上半身の重みを支えながら運動が行われる関節です。上半身に余分な力が加われば、膝への負担は増すことになります。体重がlkg増えれば運動時の膝への負担は、3kg増えるといわれています。特に、女性においては肥満と膝関節症は密接な関連性があるといわれています。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22を目安の一つとするとよいでしょう。
誤った食習慣や摂食行動を認識し、徐々に修正してバランスのとれた正しい食生活をすることが大切です。
良質の蛋白質・ビタミン・カルシウム・鉄分を多くし、脂肪を少なめに摂取するとよいでしょう。また、食事は規則的に3食きちんと食ベ8分目を心がけましょう。ゆっくりよく嚙んで食べ、菓子・ジュース類などの間食、夜遅くの夜食および過度のお酒は控えることが重要です。
自転車や車の運転
人工膝関節置換術手術後の自転車や車の運転については、ー般的には、術後半年以降に筋力が十分回復して自信がついた時期から始めることが望ましいといわれています。
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